スペインギター振興会 セファルディ【】

④ギター購入直前アドバイス 

【序文】それでは、最後に、購入希望者各自のニーズを何通りか想定しながら、左の[①良いギターとは][②ギターの材質とサイズ][③ギター料金の相違と是非]を読まれた読者のスペインギターに対する妥協点が高くなっていることを期待しつつ、そして、ギター料金一覧表&ギター全商品一覧と照らし合わせつつ、以下、ギター一般、特に、スペインギターの最終選択基準をご一緒に考えてみます。

 

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まず、何故、ギターではなく、スペインギターなのか?

何故、スペインギター(スパニッシュギター)なのかと言う精神的主旨は既に冒頭で述べました。ここでは楽器としてのスペインギターならではの特徴について述べます。

 

スペインギターと聞くと、何か別ジャンルの未知のギターではないかと思う人もいるらしく、”スペインギターは他のギターとどう違うのか?”と問われることがありますが、分類上は、通常のクラシック&フラメンコギターです。形や大きさが特別な訳でもありません。スペインで作られるギターは総てスペインギターだと言うことです。ところが、響きが違います。

 

一国の気候風土はその国民性、食文化、そして、楽器作りを決定付けます。どんな食品にも乾燥剤の入っていない、極端な乾燥気候のスペインでは、人もギターもお喋りが多くなります。これを反映して、どんな安物ギターでもそれなりに乾いた音色がすること、重厚な音のクラシックギターでも、それなりに乾いた重さが感じられること、これがスペインギター全般に渡る一番の特色だと言えます。仮に、日本や他の国々で、全く同じ製作家が全く同じギターを作っても、その気候の故に、違った音色になります。工法は真似出来ても、気候は絶対に真似出来ない、このスペインの乾燥気候こそ、スペインギターの一番の特徴です。従って、今日、日本に渦巻く中国製スペインギター偽スペインギターである隠れた理由も、この気候の違いにあると言えます。  

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ギターではなく、このスペインギターに価値観を見出したい方、続けてお読み下さい。この[④ギター購入直前アドバイス]は少々長いですが、必ずや、読者を別次元の豊かなギター人生観へと誘(いざな)う、充実した内容をお約束します。 

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クラシックかフラメンコギターか

まず、クラシックギターフラメンコギターかお選び下さい。そのためにも今一度、両者の定義について考えてみましょう。

 

クラシックギターと言えば、眠くなる様なクラシック音楽しか弾いてはいけない、お堅い楽器だとの印象を聞く人に与えていると思いますが、読者は如何でしょう? 人生、少なからぬ物事が第一印象で決まってしまうとすれば、私は常々、この名称が第一印象となって、クラシックギターの普及を妨げていると思っています。誰がいつ頃命名したかは知りませんが、クラシックギターのクラシックとは、必ずしも、クラシック音楽のクラシックではなく、伝統的な、クラシカルな、そして、フォークやエレキの様に比較的新しいギターではなく、昔からあるギターだからクラシックギターと呼ぶのだと、私は解釈しています。ピアノが昔からある、伝統的な、クラシカルな楽器であると同じです。そのピアノでクラシック音楽しか弾いてはいけない規則はない様に、21世紀のクラシックギターでも、ピアノ同様、現代音楽、映画音楽、ポピュラー、民謡、歌謡曲など、何でも弾いて良いのです。

 

バッハの曲なら、重厚な音の、いわゆる典型的なクラシックギターでしょうが、同様に、乾いた音質が売りのフラメンコギターも、フラメンコだけしか弾いてはいけないのではなく、サンバやボサノバなど、軽快なノリの音楽にはむしろ、フラメンコギターの方が魅力を発揮します。

 

まず、発想を柔軟にして、クラシックギターはクラシック音楽だけ、フラメンコギターもフラメンコだけではなく、基本的には何を弾いても良いのだと頭を切り替えれば、ギター選択にも幅が出て来ると同時に、好みのギターを絞り込み易くなります。  

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以下、主に、肝心の音色から、お好みのスペインギターセファルディ流に絞って行きます。

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普通サイズか小さいサイズかで音も変わる

いわゆるギターのサイズについてはこちらをご覧になり、弦長(650&630mm&その他)をお選び下さい。手工ギターに関してはサイズも指定して頂けます。 

 

さて、ギターのサイズと言えば、何故か、弾き易さ、弾き難さと言う、肉体的な面しか言われませんが、サイズが違えば、音色もまた、違って来ることを思えば、ある意味こちらの方が重要かも知れません。以下、主に、音色の観点から見ます。 

 

弦長 ☆ 弾き易いからと言って、短めなら、音は小さくなることは覚悟しなくてはいけませんが、それ故、引き締まった音色になるかも知れませんし、逆に、長ければ、音は大きくなりますが、間延びした音色になるかも知れません。要は、弦の長さではなく、音色です。 

 

弦高 ☆ 一般的に、低ければ、弾き易いが、音量は若干減り、音質も若干雑になり、逆に、高めだと、若干音量を増し、若干カドの取れた音色になって来ます。これがそのまま、フラメンコギタークラシックギター弦高音質の違いを反映しているとも言えます。何れにせよ、非力な日本人は、ある意味、音量音質より弾き易さ優先で、弦高は低めの設定で宜しいと思います。初心者なら尚更です。 

 

ボディーの大きさ ☆ 普通の大きさなら、それなりに普通の鳴り方でしょうが、たとえ弦長が普通に650mmでも、小さいボディーの方が、昔のリュートなど古楽器の様なポロンと言う、こじんまりした音色になります。これもまた、楽しからずやで、バロック音楽などには、却って向いているとさえ言えます。従って、普通サイズの手の人でも、大いに小さなギターを弾いて良いのです。要は、ボディーの大きさではなく、音色です。 

 

ボディーの厚み ☆ 厚ければ、音を溜めてから出すクラシックギターの重厚な音色、薄めなら、弾いてすぐに音を吐き出すフラメンコギターに向いた作りだと、一般論としては言えます。しかし、グラナダでは伝統的にクラシックギターさえ、ボディーは薄めの製作家が大半ですし、マドリードやコルドバでは、フラメンコギターさえ、クラシックギター並みの厚めの作りが多い様です。一概には言えません。要は、ボディーの厚みではなく、音色です。 

 

表面板の厚み ☆ これは見た目には識別出来ない、言わば隠れたサイズの違いです。一般的に、クラシックギターは厚めで、重厚な音質を、フラメンコギターはやや薄めで、乾いた音色を演出します。もっとも、分厚過ぎても鳴りませんし、薄くて良く鳴っても、強度の問題があります。この表面板の厚みは職人の腕の一番の見せ所です。 

 

指板の幅 ☆ 普通サイズ(弦長650mm)では[0フレット部52mm&12フレット部62mm]が標準幅。フォークギター出身者は広過ぎる印象を持つと思いますが、ピックを使わず指で直接弾くクラシックフラメンコギターは、弦と弦との間に右手指先が直接入るスペースが必要です。余り狭過ぎても、スケールやアルペジオが弾けませんし、左手の押弦の際、指の腹がすぐに隣の弦に当って、雑音が出易くなります。一定の幅は必要です。小さいサイズ(弦長630mm)では[0フレット部50mm&12フレット部60mm]とやや狭い作りです。 

 

ネックの形状 ☆ 手の小さな日本人には、薄めで、両端も出っ張り気味より、丸みを帯びている方が弾き易くなります。但し、余り薄くして、弦張力で反ってしまうと何にもなりません。さて、ネックの厚い薄いによる音の違いはどうでしょう? これは私もまだデータ不足で具体的な事が書けません。何か分かり次第お知らせしましょう。 

 

ブリッジの形 ☆ どんな形でも、弾き易さには一切関係ありませんが…。ある時、研究熱心が故に、常に斬新なアイデアを実行に移すビクトル・ディアス氏が、通常の半分程の、極めて細長く小さなブリッジのハカランダのクラシックギターを作りました。個人的には、音色が必要以上に甘くなり過ぎた感じがしましたが、この経験により、ブリッジの形状でギターの音色が変わることが証明されたのは貴重な体験でした。こんなコメントはもしかして、私が日本で最初かも知れませんが、この現実を前にすれば、今後、大いに研究の余地ありと思います。

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さて、ここまでのコメントで、クラシックギターフラメンコギターか、普通サイズ小さめのサイズかを決めれば、後は予算とも相談しながら選ぶことも出来ますが、それだけでは面白くありません。まずはラーメンを食べながら、より深くスペインギターを見る目を鍛えて行きましょう。

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材質より出来上がったギターで選ぶ

ラーメンを食べながらギター選択に思いを巡らせる 

手打ちラーメンの方が美味いんだけど、金も時間もないから、インスタントラーメンにしよっと!?  

 

こんな経験は誰でもあります。手工ギターは手打ちラーメン、普及モデルはインスタントラーメンに例えてもいいでしょう。だとすれば、金があってもなくても、まずはインスタントラーメンから食べ始めて、たまに手打ちラーメン屋に行って舌を肥やす。この順序が自然です。 

 

インスタントラーメンにも最低限のモラルが必要  

私が学生時代、今は落ち目のダイエーの地下スーパーで、ノーブランド商品なるものがありました。たまにノーブランドラーメン5個パックを買いましたが、ただインスタントラーメンと言うだけの不味い代物で、ただギターの形をして、弦が6本張ってあって、安いと言うだけの中国製ギターみたいなものでした。それに引き換え、スペインでも手に入る出前一丁はさすがに美味しいと感じます(2008年現地在住当時執筆)。インスタントラーメンとしてはです。 

 

同様に、世に出回っているスペイン製普及モデルにも美味い不味いはあります。しかし、安かろう不味かろうでは意味がありません。ギターは楽器ですから、鳴らなければ意味がありません。 

 

セファルディのご紹介する普及モデル68,000円から。それなりに鳴るギターです。それ以下は扱いません。最低限のモラルも節操もない原産国非表示の中国製スペインギターなど論外です。 

 

スペイン製普及モデルにも、中国製普及モデルのスペインギター(何故、私が一々こんな但し書きを書かねばならないのでしょうか!?)にも、英語でもっともらしくHand Madeとラベルに書いてあるものが多いですが、もちろん、手工ギター(手打ちラーメン)と言う意味でも何でもありません。 

 

インスタントラーメンでも美味い方がいい  

合板ギターより単板ギターの方が音色に勝ります。これは、インスタントラーメンでも、歯応えのある麺とない麺に例えられます。美味い音色をお求めなら、たとえ普及モデルと言えども、迷わず単板ギターをお選び下さい。セファルディではギター全商品一覧の4A8&10-s(クラシック)と4AF1510AR(フラメンコ)以外は、総て単板ギターです。 

 

インスタントラーメンの常識を根底から覆す特製スープ★GLシリーズ 

インスタントラーメンなら、どのメーカーでも大量生産の麺に粉末スープです。しかし、もし、インスタントラーメンの麺を手打ちラーメン屋の手作りスープに入れたとすればどうでしょうか? これはビジネスとすれば不釣合いで、あり得ない話ですが、この方が美味いラーメンになることも事実です(暇な読者はやってみて下さい!?)。 

 

インスタントラーメン業界でも良質の麺を捜して来て、それを更に、わざわざ手間隙経費のかかる手打ちラーメン屋の特製スープ(セラックニス)に入れて仕上げたのがGLシリーズ。プルデンシオ・サエス社で普及モデルとしては最高の木材で粗方仕上げ後、個人製作家が総て100%手作業でネック、フレット打ち、そして、きめ細かなサンドペーパーがけ、目止め、幾重にも及ぶセラック手塗り手工ギター並みに仕上げます。

 

普及モデルの限界を超えた、最高級普及モデルの気品ある音量音質を28万円でお届けします。

 

塗装が違えば、そんなに価格が違うのか!?と率直に疑問を感じる読者もいるかも知れません。因みに、私の知り合いの日本人製作家にセラック塗装を依頼すると30万円ギター店の私には20%引きの24万円。セラック塗装したギターがではなく、セラック塗装だけの料金です。お察し下さい。

 

世の楽器商からはビジネス的にバカな事だと言われるでしょう。しかし、セファルディは振興会として、より良い音色を求めて、敢えてこのバカな事をやります。各ギターの塗装欄の[セラック]とはそう言う意味だと再認識して下さい。  

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以上、セファルディで扱うスペイン製普及モデルの選択基準を分かり易く見て来ました。 

以下、スペインギター、特に、スペイン製手工ギターの選択基準を分かり易く見て行きます。

 

やっぱり手打ちラーメンの方が美味い!! 

最近では良く出来たインスタントラーメンも多いですが、翌日、手打ちラーメンを食べてみると、麺の歯応え、スープ、薬味など、味の違いは歴然です。そして、味とこくと料金が歴然と違うのは、普及モデル手工ギターも同じこと。美味さなら、歴然と、手打ちラーメンスペイン製手工ギター(ギター全商品一覧400,000円以上)をお選び下さい。 

 

でも、金がないからインスタントラーメンにしよっ~と!? 

世の中、誰しも高級手工ギターを買うべき予算を持ち合わせている訳ではないとすれば、これも一つの立派な選択方法です。もちろん、インスタントラーメンにはインスタントラーメンなりに、各社の意地と拘りと企業努力があるはずです。 

 

長年親交のあるプルデンシオ・サエス社社長父子の絶え間ない意地と拘りと企業努力の結実とも言える音響増幅内部構造スペイン製普及モデルを日本にご紹介します。もちろん、個人製作家作手工ギターには劣りますが、セファルディからご紹介するスペイン製普及モデル(ギター料金一覧表の178,000円以下のギター)には、こう言う過程と意味があることをご理解下さい。GLシリーズ(セラック手塗り&ギター全商品一覧の280,000円×7本)も用意しています。 

 

セファルディではこれらのスペイン製普及モデルヨーロッパ国内価格+αでご紹介します。  

 

でも、やっぱり手打ちラーメンの方が美味い!! 

それは当然です。予算のあるなしに関わらず、ギターグルメなら、美味いギターで美味い演奏を目指して下さい。  

 

セファルディでは、有名無名実力派スペインギター製作家の手工ギター(ギター全商品一覧の400,000円以上)をヨーロッパ国内価格+αでご紹介します。  

 

ラーメンも色々、スペインギターも色々な材質で選ぶ  

私がスペインでの観光ガイド時代(セファルディ前身レオーナ設立前の10年間)、ある時、日本から来た医師の学会の案内をしました。添乗員さん曰く、”皆さん医者ですから、不味い物は食べませんよ“との一言が、何故か印象に残っています。舌が驕って、不味い物を食べないのは道徳的にはともかく、色々な美味しい物を食べれば、味覚が養われることはまた、ギターにおいても真実です。 

 

醤油ラーメン、味噌ラーメン、塩ラーメン・・・。読者の好みはどれでしょう? それぞれにそれぞれの良さがあり、一概には言えませんし、冬の寒い日は味噌ラーメンですが、夏は冷し中華でしょう。何が何でも味噌ラーメン大盛りと言う人は、誰が何と言おうとハカランダのギターが最高と言い張る様なもの。知恵のあるラーメン通とは言えません。 

 

この様に、気候や季節で味覚や好みも左右されるのなら、ハカランダ、ローズ、糸杉、くるみ、かえで・・・と、気分と歌心によって、様々な材質のギターがあってもいいはずです。どれが一番美味いかではなく、それぞれ違った音色なのです。また、同じ味噌ラーメンでも、店によって味は異なる様に、将来的には様々な材質、何人かの製作家のギターを味わって、味覚を養ってみて下さい。セファルディは、今後も、ビジネスにならない様な色々な珍しい木のスペインギター、そして、名より実を取るべく、名工の名作に引けを取らない無名製作家の秀作も日本に紹介して行きます。要は音色です。 

 

ギターグルメのスペインギター選択  

そんなおかしな木と、弾きもしないで頭から決め付ける世の楽器商が大半でしょうが、それは売れるギターだけ売るのがビジネスだと、心から思い込んでいるギター商人のおかしな偏食です。本当のギターグルメは、健全なギター人生のためにも偏食はしないのです。 

 

今のところ、日本人に余り馴染みのない使用木材は、くるみ虎目かえでアベバイアフリカ糸杉モンゴイハトバだけですが、今後、スペインギター史上使われた、様々な木のギターを紹介して行く予定です。これらを偏食しないことも、セファルディのスペインギター振興会としての使命です。 

 

これらの様々な木材のスペインギターについては、故マヌエル・カーノ先生と親交のあった、スペイン・グラナダの古参製作家・故フアン・ロマン・パディージャ氏の意見や昔話も大いに参考にしています。実際に氏が若い頃、セゴビアから直接聞いたくるみギターの話や、当時は多くの製作家が多くの木材でスペインギターを作っていた歴史的事実を聞かされました。それが一昔前からギタービジネス至上主義のおかげで、スペインギター製作木材はハカランダ(中南米ローズ)かローズ糸杉(シプレス)だけの偏食になってしまったのです。 

 

氏にはくるみクラシックギターの製作をお願いしていましたが、2020年没。セファルディは今後共、次代の製作家達と共に、様々な木材のスペインギターで、その意向を継承して行きます。 

 

偏食しないスペインギター選択 

高速も山道も、大枚叩いたベンツでブッ飛ばして悦に入る。これを偏食と言います。何でもベンツなら、メーカーもディーラーも儲かるでしょうが、田舎道なら、気楽なファミリーワゴンで、そして、天気も気分も良ければ、バイクで軽く流す方が快適かも知れません。 

 

バッハのガチガチのクラシック音楽をハカランダの最高級クラシックギターで弾く規則はありません。同じ曲でも、違った木材の違った音色で弾けば、必ずや新境地が開かれ、ギター演奏にも幅が出て来て、ギター人生の豊かさにも直結します。リメイクされた昔の歌謡曲が原曲とは全く違って聞こえる様なものかも知れません。

 

少しニュアンスは違いますが、ある名器を持っているギタリストによれば、”たまには良くないギターを弾かないと、感覚が麻痺して名器の良さが分からなくなる“そうです。或いは、仮に、パッとしないギターでも、セゴビアが弾けば、あれは名器だと人気が出ないでしょうか? 要は、ギターの演奏も、選択も究極のところ、歌心の一語に帰着します。同様に、色々な木の様々な音色のギターを弾けば、それぞれのギターの良さもまた、再発見出来ることでしょう。偏食しないで何でも食べてこそ、健全なギターグルメの味覚も養われるのです。 

 

美味いラーメンは量より質 

私は貧乏性の故に、どうしても大盛りとかお徳用パックに惹かれます。美味いラーメンがそのまま大盛りなら、やはり美味いのでしょうが、麺の間延びしたラーメン大盛りより、歯応えのある麺の普通盛ラーメンの方が美味いです。どちらが量が多いラーメンかと言えば前者ですが、どちらが美味いラーメンかと言われれば後者です。 

 

音量ではなく、如何に音色の美味いギターか否かがギター選択の基準であり、スペインギター振興会セファルディのテーマです。人気のあるラーメン屋は大盛りだからではなく、美味いから人気があるのでしょう。ギター選択も、世の多くの物事と同じく、量より質、音量より音質(音色)です。逆ではギターグルメとは言えません。   

 

それでも音量に拘るマヌエル・カーノ先生

故マヌエル・カーノ先生が爪弾くギターからは、とにかくバカでかい音量が出ていました。生の音で聞かせたいとの理由から、マイクを好まず、それ故、客席後部まで聞こえるためにも音は大きく・・・と文字通り説明を受けた訳ではありませんが、どんなに速く弾いても、音が小さければ弾いたことにはならないと生徒達にも教えていたのも事実です。そして、軽く弦に触れるだけで音がガッーと出る名器に、ソーセージの様な太い指。確かに、日本人には真似出来ない音量でしたが、ギターコレクターとしても有名だった先生が様々なギターを試す時、決め手は、やはり、音質でした。 

 

音質とは、どんな高速アルペジオやトレモロでも、一音一音分離してはっきり聞こえること。そうすれば、その透明感と遠達力故に、たとえ音量自体はないギターでも、音量があると聞こえるものです。もしかすると、先生の音量の秘訣もその辺りだったのかも知れません。 

 

ギター選択はまず音質。それに音量が伴うギターならそれに越したことはありません。 

 

それでもマイクを好む人もいる

たまに、”私はマイクを使いますから、音量はなくても、バランスが良いギターがいいです“と言う人がいます。どこか意味不明の印象は拭えませんが、これが、もし、多少人前で弾く機会のある人の意見なら、それはそれで説得力のあるギターの選び方とも言えます。

 

マヌエル・カーノ先生の様に野太いタッチなら、ギターもそれなりの容量でなければ、軽自動車の時速100kmの如く息切れしますが、マイクを使えば、大きな音もまた、必要ない訳ですから、それこそ、バランスの良い普及モデルを軽く爪弾くだけでも、用は足りることにもなります。また、マイクを通す故に、音も変わりますから、わざわざ音色の素晴らしい高級手工ギターを使う意味も薄れるとも言えますが・・・、私には、やはり、どこか意味不明です。 

 

バランスとは音が分離して、音の粒が揃っていること。これは大切なギター選考基準です。音が分離せず、音の粒が揃っていなければ、それはマイク越しにも伝わって来ます。。 

 

ギターの材質より出来上がったギターで選ぶ  

節目の有無で建材の原価は違って来ます。節目だらけより、節目のないヒノキの柱の方が遥かに高級感が漂います。ギターの使用木材においてもそれは同様で、確かに、節目の有無や木目の詰み具合によって、刺身のトロの如く並みから特上まであり、当然、原価も違います。しかし、木は生物故に、特上の木材を使用したからと言って、特上の音色のギターが出来上がるとは限りません。 

 

マヌエル・カーノ先生没後半年後の夏、ある著名な日本人クラシックギタリストと共に、グラナダ市内の先生のお宅に赴き、未亡人の奥様の前で先生のコレクションを弾かせて頂いたことがありました。一番凄かったのが、近代スペインギターの開祖アントニオ・デ・トーレスシコモーロ材(かえで科)の小さなギターでした。

 

まず、当時は、現代ほどギターの作り自体が大きくありませんでした。そして、何とギターは節目だらけで、おまけに、裏板は3枚(現代は2枚)寄せ。先生曰く、当時は良い木材がなかったからだそうです。つまり、最悪の木材で最高のギターが出来上がった訳です。

 

今、誰かがこんなギターを作れば、たとえ有名製作家でも信用ガタ落ちでしょう。実際、日本と交易のあるスペイン人製作家は、おそらく、日本の楽器商のリクエストで、見映えの良い木だけを使っています。高い金を払う以上、見た目の悪い木など論外だと思うのは自由ですが、見た目の悪い木材のギターだから、無条件に悪いギターだと決め付けるのもまた論外であることは、このアントニオ・デ・トーレスの傑作が雄弁に背理法で証明して余りあります。実際、私は有名製作家のハカランダの当りも並みもハズレも見て来ました。 

 

料理の価値は必ずしも食材の良し悪しではなく、出来上がった料理(②冒頭)が美味いかどうかです。寿司は、具の干瓢や胡瓜や巻いてある海苔を個別に食べるのではなく、寿司と言う料理を食べるのと同様に、ギターの選択基準も、原材料の等級や原価や見映えや製作家の知名度ではなく、出来上がったギターの音色が美味いかどうかが決め手であるべきです。セファルディからは音色の美味いスペインギターをお届けします。尤も、それは必ずしも極上の材質ではないかも知れません。 

 

例えば、仮に、最高の材質を使用した名工の手工ギターと、見るからに余り上等ではない木の無名製作家の作品が2本あり、明らかに後者の方が出来がいいとします(実際これは大いにあり得る話:どんな名工にもハズレはあり、無名製作家も何本かに1本は当りが出る)。読者はどちらを選びますか? 見映えとブランドに拘る、ギターの分からない初級者ほど、楽器商の言われるがままに前者を選び、分かっている人ほど、迷わず後者を選びます。私の知り合いの日本人スペイン人プロギタリスト達も、音色さえ良ければ、少々の木材の見映えの悪さなど気にする人はいません。 

 

楽器店の店員さんは”名工の作品は使っている材質も最高ですなどと言うでしょうが、それは補足的説明にはなっても、だから必ずしもギターが鳴ると言う保証にはなっていないのです。 

 

セファルディでは外見を気にする日本市場向けにはどうかなと思われる木材でも、製作家がこれは鳴ると判断すればそれで善しとします。むしろ、自然の木材なら、そのまま使用して何も差し支えなしと言うのがセファルディの方針です。外見を重視し、最高の材質を使わなければ最高のギターは生まれないと確信して疑わない日本人ギター奏者の間違った固定概念を覆すのも、セファルディの振興会としての役割です。 

 

上述の節目だらけのアントニオ・デ・トーレスの名器が、水戸黄門の印籠の如く、最高の材質最高のギター主義と言う、日本の常識は世界の非常識を打ち壊して余りあります。短刀直入な話、読者の皆さん、もし、予算があるものなら、この名器を買いたいとは思いませんか? それとも、まさか、節目だらけだからと言って、頭ごなしにけなしますか? 

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日本の常識は世界の非常識

日本の常識は世界の非常識(ギター演奏編)!? 

例えば、スペインでは、世界中をコンサートで渡り歩いた故マヌエル・カーノ先生に至るまで、フラメンコギタリストは誰も楽譜が読めない!? 教則本を買った事がないし!? 買っても読めず!? と言う事は、教則本の基礎練習の概念が頭から存在しないので、誰1人基礎練習などしない!? フォームも人によってまちまちで!? それを生徒に一々教える先生もいない!? もちろん、レッスンは楽譜教則本なしで、先生が弾いて、生徒が目と耳で真似するだけ!? 細かい事は気にしません。おまけに、私の知り合いのフラメンコギタリストは家にギターがない!? 練習時間ゼロで、ギターは仕事場のフラメンコ会場に置いてあるだけ!? しかも、それでヨーロッパツアーを難なくこなす!? 要するに、結果オーライで弾けりゃそれでいい訳ですし、弾けなきゃ、どんな正統派理論も、正しい爪の形も、名器さえも無用の長物です。クラシック音楽でもギターに限らず、基礎練習ゼロのプロはいる様ですが・・・。 

 

それに引き換え日本の常識は・・・。うちの教室ではこうですと言わんばかりに、とにかくフォームに拘る割には(特にクラシックギター)、蚊の鳴く様な音の小さな人が非常に多いのも、日本人ギター愛好家の共通点です。こう言う人に限って高価な有名ギターを買わされ、小さな音で弾いて悦に入り、まるで新車の如く少しのキズも付けまいと、演奏よりそちらの方に注意が行って、ますますタッチが弱くなる悪循環。あたかも、大枚叩いたベンツを時速40Kmで乗り回し、”さすがベンツは違うぜ!!”と次元の低い自己満足に陥れば、ディーラーの思う壺です。 

 

セファルディでは故マヌエル・カーノ先生の教えを継承し、まず音が大きくなければギターは弾いた事にはならず、どんなに外見の正しいフォームも価値がないと見なします。高速を時速100Km以上でブッ飛ばし、息切れしない登坂力を味わってこそ、せっかくの高級車ベンツのはずです。同様にベンツの持ち腐れの如き、時速40Kmの正しいフォームでギターの安全運転などナンセンスです。 

 

この日本の常識は世界の非常識(演奏編)にスペインギターで挑戦するのもセファルディの使命です。如何に徹底的に力を抜いてバカでかい音を出すか・・・。大きな音を出すには、力を込めるのではなく抜きます。筋トレで鍛え上げた腕で思い切りバットを振り回しても、当らなければファールチップなのは指も同じこと。力を抜いてリラックスして、バットの真っ芯で捕えて、軽く振り抜くだけで、外野に突き抜けるヒットになる様な演奏が理想です。どんな弦楽器でも熟練者達人はそうなっています。その秘訣は指ではなく歌心歌心を鍛えれば、故マヌエル・カーノ先生の足元に少しは近づく事も出来ます。

 

これについては、スペインギター週間コルムナで毎週の様に取り上げています(帰国後執筆中止)。要約すれば、”指より歌心を鍛える“、”私が指を動かしてギターを弾く“のではなく、”私の指に勝手にギターを弾いてもらう“ことで、”正しいフォームで指を鍛える“日本の常識は世界の非常識に挑戦します。ご愛読下さい。ファールチップからヒットに変わるギター人生をお約束します。  

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究極のところ、歌心に富む人程、ギターを見る目があると言えます。当サイトの様々な解説も、結局は歌心の一事に帰着します。少々乱暴な要約ですが、実はこれ以上の真理はありません。読者の皆さん、歌心を鍛えればギター演奏も上達し、ギターを見る目も耳も養われて来ます。 

 

日本の常識は世界の非常識(ギター選択編)!? 

公然と中国製スペインギターを本物のスペインギターとして販売する 

日本ではどんな商品でも原産国表示がありますが、ギター業界に関しては原産国表示義務はないのでしょうか? 逆に質問したい位です。 

 

仕上げと外見に異常に拘る 

世界を見渡せば、日本人ほど細かい気配りの民族はいません。饅頭や煎餅の包装一つにも、購入者や贈呈先の好印象まで配慮した気配りが感じられますが、同時に、見映え重視と言う、どこかピンボケの価値観が日本人にはあると言えなくもありません。例えば、ハンドバックも車も最後の決め手はデザインだとか、背が高くてハンサムで次男で高級取りでと言った具合です。ギターも同じです。どんなにフィニッシュが良くても、鳴らなければピンボケギターなのです。まずは音色です。 

 

有名ブランドのスペインギターが欲しい!!  

確かに素晴らしい正真正銘有名ブランドスペインギターもあるでしょうが、読者の想像を遥かに超えた数の、有名ブランド中国製スペインギターが日本にはあります。ブランド名や外見に捕らわれず、自らの意見をしっかり持って名より実を選んで下さい。そのための当サイトです。 

 

スペインギターは高いものだとの思い込み 

国策の円安故のユーロ高の今日、日本におけるスペインギターの価格にも、それが如実に反映されていると言えますが、当サイトをご覧になれば、必ずしもそうではない事がお分かり頂けます。 

 

それ故、安いと却って信用されない  

これはギターに限らず日本人の悪い癖かも知れません。セファルディヨーロッパ国内価格+αです。舶来ギターはかなり高いものだ(当然安くはあり得ませんが)との先入観はお捨て下さい。  

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まだまだあるでしょうが、突き詰めれば、これらの著しい非常識は、総て歌心の欠如が根底にある、慢性的副作用だと言えます。 

 

新品ギターも使用木材は古い方がいい!? 

手工ギターの木材は最低10年寝かしてから使います。私の経験や知り合いの製作家の意見では、必ずしも素材自体の良し悪しではなく、この木材の古さがギターの鳴りを一番決定付けます。

 

木には人間の毛穴と同じく気孔なるものがあり、年数の経過と共に気孔内の樹液が乾燥して、音の通り、音質が良くなります。つまり、寝かせば寝かす程、味とコクを増すワインの様なもので、こうなると経過年数にお金を払うとも言えますし、購入者もそれだけの年数を待たなくても良いメリットもあります。上のアントニオ・デ・トーレスのギターや、ストラジバリウスのバイオリンやチェロが現在凄い音がしているのも、名工作と言う事もありますが、年月の経過も大いに関係しています。 

 

とは言え、使用木材の経過年数など、製作家に聞かなければ分からない事ですが、セファルディからご紹介する手工ギターは総て、十分年月の経った乾いた木材の使用をお約束します。 

 

もっとも、量産工場では10年待つ訳にはいきません。家具工場と同じく機械で無理やり乾燥させます。この自然乾燥機械乾燥の差が、手工ギター普及モデル音質に決定的な差を生じます。 

 

スペインギターは魚よりワイン、鮮度より年期で選ぶ  

使用木材は古い方がいいなら、ギターも古い方がいいはずです。音質重視の分かっている人ほど、一般的にこう言うギターの見方をしますし、分かっていない人ほど、新品や見映えに拘ります。新しいのと古いのと全く同じ商品が2つあれば、新しい方を選ぶのが消費者心理かも知れませんし、例えば魚なら確かにそうです。しかし、ワインなら、古臭い10年物より新しい1年物の方が良いと本気で言えば笑われます。実はギターも同じ事なのです。 

 

魚は鮮度でも、ギターの音色は鮮度ではなく、年期が決め手です。例えば、あるギターが3年間売れなかったとして、これを固定概念で、3年間誰も欲しがらなかった悪いギターだと決め付ける事も出来ますが、おかげでこのギターは3年間待つ必要がない、3年経ったから結構いい音がしてるじゃないか、いや、3年も経ってこの音じゃダメだな、と見切りを付ける事も出来ます。 

 

例えば、同じ製作家のギターが2本あり、1本は新品、もう1本は新品ですが、3年前の作だとします。新旧に係わらず、音色のいい方を選べばいいだけの事です。何も難しく考える必要はありません。 

 

売れ残りスペインギターの盲点  

前項の続き 普通、何でも売れ残りは良い印象を持たれないでしょう。皆が良い物を持って行った残り物だとの潜在意識が働きます。スーパーの惣菜なら閉店前に値引きになりますが、ギターの場合はどうでしょう。次の3通りが考えられる様に思われます。 

 

ただ単に出来が良くなかったから売れ残ったギター。 

発売当初は鳴らず、売れ残ったが、今は鳴っているギターで、まだ売れていないギター。特に表面板”松”材なら、これは大いにあり得ます。良い耳を持っていれば、今は出来立てで鳴ってはいないが、将来は鳴りそうな響き方か、それともやはり鳴らなさそうか、利く事も可能でしょう。 

秀作だが、高価故に売れなかったギター。 

 

従って、”皆が良い物を持って行った後の売れ残り”だとの潜在意識が当っているのはのみです。セファルディからご紹介する中に何年か前のギターがあるとすれば、それは②③の場合、特に手工ギターの場合はである事をお約束します。 

 

外見によるギター選択!? 

セファルディでは、前項出来とは、主にギターの音色の良し悪しを意味しますが、どうやら日本人にとっては、木工としての見映えや外見の仕上げも、かなりの比重を占める様です。現実問題として、車も服も何でも、カッコいい方が売れ筋でしょうし、特に日本人にはこの傾向が顕著に見受けられます。例えば、このギター格好いい(どう言う判断基準でしょうか)!? サウンドホールの模様がキレイ(装飾品なら話は分かりますが)!? 小さいギターの方がカワイイ(意味不明)!? ピカピカ光っている方がいい(却って安物の証)!? と言った具合です。いずれも私が創設したグラナダの日本語情報センターに展示してあったギターを見た日本人旅行者が私に言った言葉ですが、読者は如何でしょうか?

 

そこでギターのフィニッシュですが、おそらく世界一几帳面な国民性の日本人と、おそらくヨーロッパ一いい加減な性格のスペイン人(!?)の違いをそのまま反映して、あくまで一般論としてですが、国産ギターの方がスペインギターより気配りがなされている事は確かです。肝心の音色ではなく、外見に関してはです。音色さえ良ければ、見映えなどどうでもいいと言外に言っている訳ではありませんが、率直な意見として、こと外見に関しては、手工ギターに至るまで、国産ほど気配りが行き届いていないスペインギターも多々あります。これが現実です。但し、これは外見に拘る日本人だけの虫眼鏡に引っ掛かる繊細な印象ですので、最後は外見でもフィニッシュでもなく、スペインギタースペインギターらしいその音色で、スペインギターを正しく選択して下さい。 

 

繰り返しになりますが、セファルディでは製作家がこれは鳴ると判断すれば、少々見た目の良くない木材でも遠慮なく使用します。外見の良し悪しに係わらず、それが自然の産物であれば、ギターにとって悪いはずがないのです。上でご紹介したアントニオ・デ・トーレスの名器がそれを証明して余りあります。 

 

それでも外見が大事、しかし・・・ 

どんなに気を付けても、新車も買ったばかりの家具も家電も、遅かれ早かれ汚れたり、キズ付いたりするのが宿命です。ギターもケースの出し入れの際ぶつけ、不意に立ち上がって椅子に接触。しまったと思った条件反射で譜面台にもニアミス。弦交換でブリッジの穴に通して結べば爪で表面板にキズを付け、糸巻きに通す際には弦がヘッドに擦って掠りキズ。一生懸命練習したはいいが、気が付けば裏板にはワイシャツのボタンとベルトの金具の跡・・・。 

 

どんなフィニッシュの完璧な新品ギターも名器も同じ運命です。既にギターを持っている読者なら、なお更良くお分かりのはずです。ですから、この意味ではギター購入の際に、外見やフィニッシュに特別拘る必要性はありません。私の経験でも、素人ほど見栄えでギターを選び、玄人ほど音色が決め手です。スペインギター音色で利いて下さい。 

 

それでも外見に拘り続けると、次の様な事が起こり得ます。 

 

風評によるギター選択  

グラナダ在住の頃、日本から“オレンジ色のフラメンコギターが欲しい”との問い合わせがありました。ピストル塗装の中でも、最も安価なオレンジ色のポリウレタン塗装は、作りの粗い最も安価な普及モデルの塗装方法です。早い話が雑な作り(木と木の接合部分の隙間など)やキズを隠すための、やや濃い目のオレンジ色なのです。日本にも多く輸入されている、スペインの有名フラメンコギターメーカーが相当高いモデルにまで、こんな安い塗装を施しているので、無知な消費者はよりによって、この最も安いオレンジ色こそ、高級ギターの証とさえ思い込むに至ります。 

 

幼少期なら無知は無邪気で済むかも知れませんが、それ以降は無知だとまず損をするのが世の常です。ましてや、大枚叩いてスペイン製手工ギターを購入するとなれば、当サイトを熟読してからでも決して遅くはありません。 

 

それでもキレイなスペインギターがいい!?

今一意味不明ですが、見た目のキレイさなら迷わずピストル途装普及モデルが一番です。セラック途装よりキズが付き難く、家具の艶出しスプレーで拭けば新品同然。セラック途装手工ギター音質は劣りますが、それなりに良くなるギターをお送りします。ギター全商品一覧の塗装欄[ピストル]表示の68,000~160,000円のギターです。

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価格によるギター選択  

とは言え、いくら良いギターを見定めるギター選択眼が養われたとしても、先立つものがなければ購入出来ないとすれば、値札を見ながら予算内のギターを品定めるのも、確かに現実的なギター選考基準です。以下ギター全商品一覧と対照しながら、現実的に見て行きましょう。 

 

安けりゃ何でもいい方 迷わず、その辺で売っている安価なギターをお求め下さい。但し、今日ギターに限らず、様々な楽器の安いランクは、ラベルが国産輸入品を問わず、圧倒的大多数が中国製です。有名メーカー程そうです。残念ながら、これが現実です。日本で市販のスペインギターも、15万円以下は中国製スペインギターとの、日本国内の確かな筋から聞いたのは、もう10年前の情報です。もちろん、ギターの片隅にMade in Chinaとも何とも書いてありません。産地偽装です。

 

それでも、なるべく安いスペインギターがいい方 クラシックギター4A8&10-sフラメンコギター4AF1510ARからお求め下さい。普及モデル(合板)ですが、それなりに鳴る様に研究された安価なギターです。弦長650&630mm。もちろん、スペイン国内で製作されたスペイン製ギターです。

 

スペイン製手工ギターは欲しいが、予算がない方 普及モデル(単板)をお選び下さい。クラシックギターギター全商品一覧G6-s22C-s28-s146-s(スペインの白いギター)。フラメンコギターはG6F-s24-s22-sARF(スペインの白いフラメンコギター)。ご覧の様にセファルディ普及モデル(単板)は一番高価でも160,000円セラック手塗りでも280,000円(GLシリーズ)。ブランド化されたポリウレタンピストル塗装のスペイン製普及モデルが数十万円から時には100万円を越える日本において、これはスペイン製普及モデル(単板)としてはあり得ない価格です。振興会として、高い安いを論じるのが主旨ではありませんが、これは明らかにお買い得です。 

 

スペイン製手工ギターがこんな料金で果たして本物かと思う方 もちろん、本物です!! これは以前から良くある質問ですが、こう質問をする人は、結構ギター通が故に、日本のスペイン製手工ギターの相場を良く知っており、また、長年日本的相場に洗脳されて来た人とも言えます。輸入バイオリンは百万単位だと、日本の楽器商から長年洗脳されて来た日本人が、ある日イタリアに行って愕然とするのと同じです。ですから、その固定概念からセファルディヨーロッパ国内価格+αで紹介しても、却って疑われてしまうのですから、人間の先入観とは厄介なものです。 

 

その固定概念と先入観に、ヨーロッパ国内価格+α で挑戦するのも振興会としての使命です。いくら日本では無名の製作家とは言え、スペイン製正真正銘手工ギター400,000円から。今日日本でのスペイン製手工ギターの市価は最低でも100万円以上(一部影武者手工ギターを除く)のご時世に、あり得ない価格でご紹介します。 

 

価格差によるギター選択 

どんな業界でも自らの商品を良く言わない人はいない訳ですが、7万円と70万円のギターが同じく良いはずはありません。もちろん、それぞれの料金に応じた良いギターだとの認識の元に、ギター全商品一覧からお選び下さい。 

 

現金な話でスペインギター選択日本市場との比較  前項&前々項の総括 

セファルディではスペイン製単板ギター135,000円から ⇔ 日本の市価ではおよそ150,000円から(但し、今日中国製スペインギターの可能性もあり)。 

 

セファルディではスペインセラック塗装ギターは280,000円から ⇔ 日本の市価ではおよそ90万円から(と推定しますが、これだけの料金でもセラックではなく、ピストル塗装のものも多し)。 

 

セファルディではスペイン製手工ギターは400,000円から ⇔ 日本の市価ではおよそ90万円以上(一部影武者手工ギターは除く)。

 

平均して日本の市価の7割前後ではないかと推察します。

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現実には、購入希望者は予算を片手に、予算内のギターを捜す事になる訳ですが、ご覧の様にセファルディでは同じご予算でも、日本の市価より遥かに使い出がある事をお約束します。ギター全商品一覧の各スペインギターの料金には、こう言う意味がある事を再認識して下さい。それでも…。  

 

え~、高~い!? 

ギターについて知らない人ほど、セファルディの料金を聞いてこう言います!?  

 

え~、そんなに安くていいんですか!? 

ギターについて知っている人ほど、セファルディの料金を聞いてこう言います!? 

 

スペインギター価格に無感覚な方は湯呑をどうぞ!? 

上の2項目を湯呑で説明:お茶を飲むだけなら、中国製安物コップも陶器師の湯呑も同じと思っている人に、名人の手作り湯呑が1個1万円と言えば、条件反射で”え~、高い!?“と言うことでしょう。しかし、焼物を少しは知っている人なら”え~、そんなに安くていいんですか!?“と言うでしょう。この様な場合、日本語では”それは主観の違いです”と言うかも知れませんが、中国製の大量生産のコップが安くて、名人の湯呑が遥かに高い事は万人に共通の道理であり、道理ならそれは主観ではなく、日本語では客観と言います。この客観を無理やり捻じ曲げて、自らの都合の良い主観を作り上げ様とすれば、スペインギター界でも、大量生産の安物コップをブランド化したり、別の作者のサインを入れたり、原産国非表示の中国製コップを自社製として販売するなどの奇行が我が物顔で罷ります。 

 

セファルディでは、私の好みと主観に基づく独特のスペインギターをご紹介しているつもりですが、普及モデル普及モデルなりに、手工ギター手工ギターなりに、ヨーロッパ国内価格+αと言う客観的価値観でお届けします。フェアープレーの精神を欠いた、おかしな箔付けは一切しません。普及モデル手工ギター共に、純スペインギターとしては、おそらく日本国内通り相場よりは安い価格設定でしょう。 

 

スペインギター選択は3段ロケットから2段ロケット時代へ  

現在の日本におけるスペイン輸入ギターの市価を鑑みれば、一般的購入選択基準はある意味[15万円前後の低価格大衆ギター 50万円前後の中クラスギター(実際は箔付けされた普及モデル) 100万円以上の高級手工ギター(中にはブランド化された普及モデルーや影武者手工ギターあり)]の3段ロケット方式だとも言えます。奏者の初中高のレベルにギター価格も比例していると言えますが、これは日本のギター業界が長年自らのために自らが築き上げて来た、それなりの主観的な日本的価格水準である事は今まで述べて来ました。 

 

これに対し、今まで見て来たセファルディの価格によれば[160,000円以下の普及モデル(&280,000円セラック手塗りGLシリーズ 400,000円以上の正真正銘手工ギター』の2段ロケット方式も十分可能である事がお分かり頂けます。 

 

数十万円でスペイン製手工ギターをと思っていらっしゃる方。その予算では日本ではいくらスペイン製手工ギターと言われても、その実ブランド化された普及モデルです。セファルディでは400,000円から正真正銘スペイン製手工ギターをお届けします。  

 

例えば、本格的にギターに取り組みたいので、もう少し高価な2本目をと願っている方。セファルディでは今までの2段目ロケット用に箔付けされたスペイン製普及モデルの予算で、正真正銘スペイン製手工ギターをご紹介します。  

 

やる気のある方のスペインギター選択  

初心者&初級者  迷わず最初から単板ギターをお選び下さい。セラック塗装なら更に宜しいです。 

 

中級者&上級者  迷わず手工ギターをお選び下さい。 

 

名より実を取るスペインギター選択  

確かに、ハカランダギターの秀作なら他の材質のギターに優るでしょうが、駄作ならくるみギターの秀作に遥かに劣ります。名工も、何本も作っていれば必ずハズレもあれば、駆け出しの製作家でも、たまに当りは出ます。製作家の有名無名や材質がどうこうではなく、名より実を取る事を心がけて下さい。セファルディでは有名無名製作家に係わらず、実の伴うスペインギターをお送りします。 

 

気軽なセカンドギターに  

同じ曲でも、別のギターや違った木材のギターで弾けば、また違った気分で歌心の新境地が見出せます。ギターを始めて一段落したら、2本目3本目と視野を広げて行くのも、また楽しからずやです。必ずギターを味わう味覚と演奏にも幅が出て来ます。 

 

日本の通り相場なら、決して気楽にとは言えないスペインギターですが、セファルディでは普及モデルは高くても160000円(&280,000円セラック手塗りGLシリーズ) 。高級手工ギターも400,000円から。しかも、様々な木材のギターを取り揃えています。それぞれの音色でスペインの香りをお楽しみ下さい。 

 

一般的に音の厚さ~軽快さは[ハカランダ(中南米ローズ)>ローズ虎目かえでくるみ糸杉(シプレス)>アフリカ糸杉アベバイ]の順でしょうか。選択の参考にして下さい。但し、これは単に一般論です。実際完成したギターの音色がこれに比例しない事は、散々述べて来た通りです。 

 

謎の空白 16~28~40万円!? 

前項の補足160,000円(一番高価なピストル塗装普及モデル)~280,000円(セラック手塗りの一番高価な普及モデル)~400,000円(一番安い手工ギター)ですが、セファルディのギター全商品一覧を見ると、この中間の料金のギターが一本もない事がお分かり頂けます。これは取りも直さず、普及モデルにおかしな箔付けをして高く売る様な事をせず、普及モデル手工ギター共に、ヨーロッパ国内価格+αで日本に紹介する基本方針を口先だけでなく実践したもの、それ故のこの料金帯の空白とご理解下さい。

 

スペイン製普及モデルは160,000円まで。セッラク手塗りでも280,000円。スペイン製手工ギターは400,000円から。ただそれだけの事です。

 

女性や手の小さな方のためのスペインギター選択  

普及モデルならギター全商品一覧から[弦長650&630mm]の表示のあるものをお選び下さい。手工ギターもネックの幅を薄くした、弾き易いサイズに仕上げてあります。また、やる気のある方はベルンド・マルティン作タレガモデル(弦長640㎜)をお選び下さい。小さいボディからは考えられない凄い音がします。 

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以上、セファルディ独特の観点から、正しいスペインギター選択の秘訣をなるべく分かり易くも核心を突きつつ、詳しく観て来ました。これを通じて、1人でも多くの日本人ギター愛好家が、真に価値あるスペインギターと出会うきっかけとなれれば幸いです。ご紹介するスペインギターの価格ではなく、スペインギター振興会の主旨に賛同して下さる様、お願い致します(代表)。  

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