普通サイズか小さいサイズかで音も変わる

いわゆるギターのサイズについてはこちらをご覧になり、弦長(650&630mm&その他)をお選び下さい。手工ギターに関してはサイズも指定して頂けます。 

 

さて、ギターのサイズと言えば、何故か、弾き易さ、弾き難さと言う、肉体的な面しか言われませんが、サイズが違えば、音色もまた、違って来ることを思えば、ある意味こちらの方が重要かも知れません。以下、主に、音色の観点から見ます。 

 

弦長 ☆ 弾き易いからと言って、短めなら、音は小さくなることは覚悟しなくてはいけませんが、それ故、引き締まった音色になるかも知れませんし、逆に、長ければ、音は大きくなりますが、間延びした音色になるかも知れません。要は、弦の長さではなく、音色です。 

 

弦高 ☆ 一般的に、低ければ、弾き易いが、音量は若干減り、音質も若干雑になり、逆に、高めだと、若干音量を増し、若干カドの取れた音色になって来ます。これがそのまま、フラメンコギタークラシックギター弦高音質の違いを反映しているとも言えます。何れにせよ、非力な日本人は、ある意味、音量音質より弾き易さ優先で、弦高は低めの設定で宜しいと思います。初心者なら尚更です。 

 

ボディーの大きさ ☆ 普通の大きさなら、それなりに普通の鳴り方でしょうが、たとえ弦長が普通に650mmでも、小さいボディーの方が、昔のリュートなど古楽器の様なポロンと言う、こじんまりした音色になります。これもまた、楽しからずやで、バロック音楽などには、却って向いているとさえ言えます。従って、普通サイズの手の人でも、大いに小さなギターを弾いて良いのです。要は、ボディーの大きさではなく、音色です。 

 

ボディーの厚み ☆ 厚ければ、音を溜めてから出すクラシックギターの重厚な音色、薄めなら、弾いてすぐに音を吐き出すフラメンコギターに向いた作りだと、一般論としては言えます。しかし、グラナダでは伝統的にクラシックギターさえ、ボディーは薄めの製作家が大半ですし、マドリードやコルドバでは、フラメンコギターさえ、クラシックギター並みの厚めの作りが多い様です。一概には言えません。要は、ボディーの厚みではなく、音色です。 

 

表面板の厚み ☆ これは見た目には識別出来ない、言わば隠れたサイズの違いです。一般的に、クラシックギターは厚めで、重厚な音質を、フラメンコギターはやや薄めで、乾いた音色を演出します。もっとも、分厚過ぎても鳴りませんし、薄くて良く鳴っても、強度の問題があります。この表面板の厚みは職人の腕の一番の見せ所です。 

 

指板の幅 ☆ 普通サイズ(弦長650mm)では[0フレット部52mm&12フレット部62mm]が標準幅。フォークギター出身者は広過ぎる印象を持つと思いますが、ピックを使わず指で直接弾くクラシックフラメンコギターは、弦と弦との間に右手指先が直接入るスペースが必要です。余り狭過ぎても、スケールやアルペジオが弾けませんし、左手の押弦の際、指の腹がすぐに隣の弦に当って、雑音が出易くなります。一定の幅は必要です。小さいサイズ(弦長630mm)では[0フレット部50mm&12フレット部60mm]とやや狭い作りです。 

 

ネックの形状 ☆ 手の小さな日本人には、薄めで、両端も出っ張り気味より、丸みを帯びている方が弾き易くなります。但し、余り薄くして、弦張力で反ってしまうと何にもなりません。さて、ネックの厚い薄いによる音の違いはどうでしょう? これは私もまだデータ不足で具体的な事が書けません。何か分かり次第お知らせしましょう。 

 

ブリッジの形 ☆ どんな形でも、弾き易さには一切関係ありませんが…。ある時、研究熱心が故に、常に斬新なアイデアを実行に移すビクトル・ディアス氏が、通常の半分程の、極めて細長く小さなブリッジのハカランダのクラシックギターを作りました。個人的には、音色が必要以上に甘くなり過ぎた感じがしましたが、この経験により、ブリッジの形状でギターの音色が変わることが証明されたのは貴重な体験でした。こんなコメントはもしかして、私が日本で最初かも知れませんが、この現実を前にすれば、今後、大いに研究の余地ありと思います。

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さて、ここまでのコメントで、クラシックギターフラメンコギターか、普通サイズ小さめのサイズかを決めれば、後は予算とも相談しながら選ぶことも出来ますが、それだけでは面白くありません。まずはラーメンを食べながら、より深くスペインギターを見る目を鍛えて行きましょう。

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