スペインギター振興会 セファルディ【】

材質より出来上がったギターで選ぶ

ラーメンを食べながらギター選択に思いを巡らせる 

手打ちラーメンの方が美味いんだけど、金も時間もないから、インスタントラーメンにしよっと!?  

 

こんな経験は誰でもあります。手工ギターは手打ちラーメン、普及モデルはインスタントラーメンに例えてもいいでしょう。だとすれば、金があってもなくても、まずはインスタントラーメンから食べ始めて、たまに手打ちラーメン屋に行って舌を肥やす。この順序が自然です。 

 

インスタントラーメンにも最低限のモラルが必要  

私が学生時代、今は落ち目のダイエーの地下スーパーで、ノーブランド商品なるものがありました。たまにノーブランドラーメン5個パックを買いましたが、ただインスタントラーメンと言うだけの不味い代物で、ただギターの形をして、弦が6本張ってあって、安いと言うだけの中国製ギターみたいなものでした。それに引き換え、スペインでも手に入る出前一丁はさすがに美味しいと感じます(2008年現地在住当時執筆)。インスタントラーメンとしてはです。 

 

同様に、世に出回っているスペイン製普及モデルにも美味い不味いはあります。しかし、安かろう不味かろうでは意味がありません。ギターは楽器ですから、鳴らなければ意味がありません。 

 

セファルディのご紹介する普及モデル68,000円から。それなりに鳴るギターです。それ以下は扱いません。最低限のモラルも節操もない原産国非表示の中国製スペインギターなど論外です。 

 

スペイン製普及モデルにも、中国製普及モデルのスペインギター(何故、私が一々こんな但し書きを書かねばならないのでしょうか!?)にも、英語でもっともらしくHand Madeとラベルに書いてあるものが多いですが、もちろん、手工ギター(手打ちラーメン)と言う意味でも何でもありません。 

 

インスタントラーメンでも美味い方がいい  

合板ギターより単板ギターの方が音色に勝ります。これは、インスタントラーメンでも、歯応えのある麺とない麺に例えられます。美味い音色をお求めなら、たとえ普及モデルと言えども、迷わず単板ギターをお選び下さい。セファルディではギター全商品一覧の4A8&10-s(クラシック)と4AF1510AR(フラメンコ)以外は、総て単板ギターです。 

 

インスタントラーメンの常識を根底から覆す特製スープ★GLシリーズ 

インスタントラーメンなら、どのメーカーでも大量生産の麺に粉末スープです。しかし、もし、インスタントラーメンの麺を手打ちラーメン屋の手作りスープに入れたとすればどうでしょうか? これはビジネスとすれば不釣合いで、あり得ない話ですが、この方が美味いラーメンになることも事実です(暇な読者はやってみて下さい!?)。 

 

インスタントラーメン業界でも良質の麺を捜して来て、それを更に、わざわざ手間隙経費のかかる手打ちラーメン屋の特製スープ(セラックニス)に入れて仕上げたのがGLシリーズ。プルデンシオ・サエス社で普及モデルとしては最高の木材で粗方仕上げ後、個人製作家が総て100%手作業でネック、フレット打ち、そして、きめ細かなサンドペーパーがけ、目止め、幾重にも及ぶセラック手塗り手工ギター並みに仕上げます。

 

普及モデルの限界を超えた、最高級普及モデルの気品ある音量音質を28万円でお届けします。

 

塗装が違えば、そんなに価格が違うのか!?と率直に疑問を感じる読者もいるかも知れません。因みに、私の知り合いの日本人製作家にセラック塗装を依頼すると30万円ギター店の私には20%引きの24万円。セラック塗装したギターがではなく、セラック塗装だけの料金です。お察し下さい。

 

世の楽器商からはビジネス的にバカな事だと言われるでしょう。しかし、セファルディは振興会として、より良い音色を求めて、敢えてこのバカな事をやります。各ギターの塗装欄の[セラック]とはそう言う意味だと再認識して下さい。  

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以上、セファルディで扱うスペイン製普及モデルの選択基準を分かり易く見て来ました。 

以下、スペインギター、特に、スペイン製手工ギターの選択基準を分かり易く見て行きます。

 

やっぱり手打ちラーメンの方が美味い!! 

最近では良く出来たインスタントラーメンも多いですが、翌日、手打ちラーメンを食べてみると、麺の歯応え、スープ、薬味など、味の違いは歴然です。そして、味とこくと料金が歴然と違うのは、普及モデル手工ギターも同じこと。美味さなら、歴然と、手打ちラーメンスペイン製手工ギター(ギター全商品一覧400,000円以上)をお選び下さい。 

 

でも、金がないからインスタントラーメンにしよっ~と!? 

世の中、誰しも高級手工ギターを買うべき予算を持ち合わせている訳ではないとすれば、これも一つの立派な選択方法です。もちろん、インスタントラーメンにはインスタントラーメンなりに、各社の意地と拘りと企業努力があるはずです。 

 

長年親交のあるプルデンシオ・サエス社社長父子の絶え間ない意地と拘りと企業努力の結実とも言える音響増幅内部構造スペイン製普及モデルを日本にご紹介します。もちろん、個人製作家作手工ギターには劣りますが、セファルディからご紹介するスペイン製普及モデル(ギター料金一覧表の178,000円以下のギター)には、こう言う過程と意味があることをご理解下さい。GLシリーズ(セラック手塗り&ギター全商品一覧の280,000円×7本)も用意しています。 

 

セファルディではこれらのスペイン製普及モデルヨーロッパ国内価格+αでご紹介します。  

 

でも、やっぱり手打ちラーメンの方が美味い!! 

それは当然です。予算のあるなしに関わらず、ギターグルメなら、美味いギターで美味い演奏を目指して下さい。  

 

セファルディでは、有名無名実力派スペインギター製作家の手工ギター(ギター全商品一覧の400,000円以上)をヨーロッパ国内価格+αでご紹介します。  

 

ラーメンも色々、スペインギターも色々な材質で選ぶ  

私がスペインでの観光ガイド時代(セファルディ前身レオーナ設立前の10年間)、ある時、日本から来た医師の学会の案内をしました。添乗員さん曰く、”皆さん医者ですから、不味い物は食べませんよ“との一言が、何故か印象に残っています。舌が驕って、不味い物を食べないのは道徳的にはともかく、色々な美味しい物を食べれば、味覚が養われることはまた、ギターにおいても真実です。 

 

醤油ラーメン、味噌ラーメン、塩ラーメン・・・。読者の好みはどれでしょう? それぞれにそれぞれの良さがあり、一概には言えませんし、冬の寒い日は味噌ラーメンですが、夏は冷し中華でしょう。何が何でも味噌ラーメン大盛りと言う人は、誰が何と言おうとハカランダのギターが最高と言い張る様なもの。知恵のあるラーメン通とは言えません。 

 

この様に、気候や季節で味覚や好みも左右されるのなら、ハカランダ、ローズ、糸杉、くるみ、かえで・・・と、気分と歌心によって、様々な材質のギターがあってもいいはずです。どれが一番美味いかではなく、それぞれ違った音色なのです。また、同じ味噌ラーメンでも、店によって味は異なる様に、将来的には様々な材質、何人かの製作家のギターを味わって、味覚を養ってみて下さい。セファルディは、今後も、ビジネスにならない様な色々な珍しい木のスペインギター、そして、名より実を取るべく、名工の名作に引けを取らない無名製作家の秀作も日本に紹介して行きます。要は音色です。 

 

ギターグルメのスペインギター選択  

そんなおかしな木と、弾きもしないで頭から決め付ける世の楽器商が大半でしょうが、それは売れるギターだけ売るのがビジネスだと、心から思い込んでいるギター商人のおかしな偏食です。本当のギターグルメは、健全なギター人生のためにも偏食はしないのです。 

 

今のところ、日本人に余り馴染みのない使用木材は、くるみ虎目かえでアベバイアフリカ糸杉モンゴイハトバだけですが、今後、スペインギター史上使われた、様々な木のギターを紹介して行く予定です。これらを偏食しないことも、セファルディのスペインギター振興会としての使命です。 

 

これらの様々な木材のスペインギターについては、故マヌエル・カーノ先生と親交のあった、スペイン・グラナダの古参製作家・故フアン・ロマン・パディージャ氏の意見や昔話も大いに参考にしています。実際に氏が若い頃、セゴビアから直接聞いたくるみギターの話や、当時は多くの製作家が多くの木材でスペインギターを作っていた歴史的事実を聞かされました。それが一昔前からギタービジネス至上主義のおかげで、スペインギター製作木材はハカランダ(中南米ローズ)かローズ糸杉(シプレス)だけの偏食になってしまったのです。 

 

氏にはくるみクラシックギターの製作をお願いしていましたが、2020年没。セファルディは今後共、次代の製作家達と共に、様々な木材のスペインギターで、その意向を継承して行きます。 

 

偏食しないスペインギター選択 

高速も山道も、大枚叩いたベンツでブッ飛ばして悦に入る。これを偏食と言います。何でもベンツなら、メーカーもディーラーも儲かるでしょうが、田舎道なら、気楽なファミリーワゴンで、そして、天気も気分も良ければ、バイクで軽く流す方が快適かも知れません。 

 

バッハのガチガチのクラシック音楽をハカランダの最高級クラシックギターで弾く規則はありません。同じ曲でも、違った木材の違った音色で弾けば、必ずや新境地が開かれ、ギター演奏にも幅が出て来て、ギター人生の豊かさにも直結します。リメイクされた昔の歌謡曲が原曲とは全く違って聞こえる様なものかも知れません。

 

少しニュアンスは違いますが、ある名器を持っているギタリストによれば、”たまには良くないギターを弾かないと、感覚が麻痺して名器の良さが分からなくなる“そうです。或いは、仮に、パッとしないギターでも、セゴビアが弾けば、あれは名器だと人気が出ないでしょうか? 要は、ギターの演奏も、選択も究極のところ、歌心の一語に帰着します。同様に、色々な木の様々な音色のギターを弾けば、それぞれのギターの良さもまた、再発見出来ることでしょう。偏食しないで何でも食べてこそ、健全なギターグルメの味覚も養われるのです。 

 

美味いラーメンは量より質 

私は貧乏性の故に、どうしても大盛りとかお徳用パックに惹かれます。美味いラーメンがそのまま大盛りなら、やはり美味いのでしょうが、麺の間延びしたラーメン大盛りより、歯応えのある麺の普通盛ラーメンの方が美味いです。どちらが量が多いラーメンかと言えば前者ですが、どちらが美味いラーメンかと言われれば後者です。 

 

音量ではなく、如何に音色の美味いギターか否かがギター選択の基準であり、スペインギター振興会セファルディのテーマです。人気のあるラーメン屋は大盛りだからではなく、美味いから人気があるのでしょう。ギター選択も、世の多くの物事と同じく、量より質、音量より音質(音色)です。逆ではギターグルメとは言えません。   

 

それでも音量に拘るマヌエル・カーノ先生

故マヌエル・カーノ先生が爪弾くギターからは、とにかくバカでかい音量が出ていました。生の音で聞かせたいとの理由から、マイクを好まず、それ故、客席後部まで聞こえるためにも音は大きく・・・と文字通り説明を受けた訳ではありませんが、どんなに速く弾いても、音が小さければ弾いたことにはならないと生徒達にも教えていたのも事実です。そして、軽く弦に触れるだけで音がガッーと出る名器に、ソーセージの様な太い指。確かに、日本人には真似出来ない音量でしたが、ギターコレクターとしても有名だった先生が様々なギターを試す時、決め手は、やはり、音質でした。 

 

音質とは、どんな高速アルペジオやトレモロでも、一音一音分離してはっきり聞こえること。そうすれば、その透明感と遠達力故に、たとえ音量自体はないギターでも、音量があると聞こえるものです。もしかすると、先生の音量の秘訣もその辺りだったのかも知れません。 

 

ギター選択はまず音質。それに音量が伴うギターならそれに越したことはありません。 

 

それでもマイクを好む人もいる

たまに、”私はマイクを使いますから、音量はなくても、バランスが良いギターがいいです“と言う人がいます。どこか意味不明の印象は拭えませんが、これが、もし、多少人前で弾く機会のある人の意見なら、それはそれで説得力のあるギターの選び方とも言えます。

 

マヌエル・カーノ先生の様に野太いタッチなら、ギターもそれなりの容量でなければ、軽自動車の時速100kmの如く息切れしますが、マイクを使えば、大きな音もまた、必要ない訳ですから、それこそ、バランスの良い普及モデルを軽く爪弾くだけでも、用は足りることにもなります。また、マイクを通す故に、音も変わりますから、わざわざ音色の素晴らしい高級手工ギターを使う意味も薄れるとも言えますが・・・、私には、やはり、どこか意味不明です。 

 

バランスとは音が分離して、音の粒が揃っていること。これは大切なギター選考基準です。音が分離せず、音の粒が揃っていなければ、それはマイク越しにも伝わって来ます。。 

 

ギターの材質より出来上がったギターで選ぶ  

節目の有無で建材の原価は違って来ます。節目だらけより、節目のないヒノキの柱の方が遥かに高級感が漂います。ギターの使用木材においてもそれは同様で、確かに、節目の有無や木目の詰み具合によって、刺身のトロの如く並みから特上まであり、当然、原価も違います。しかし、木は生物故に、特上の木材を使用したからと言って、特上の音色のギターが出来上がるとは限りません。 

 

マヌエル・カーノ先生没後半年後の夏、ある著名な日本人クラシックギタリストと共に、グラナダ市内の先生のお宅に赴き、未亡人の奥様の前で先生のコレクションを弾かせて頂いたことがありました。一番凄かったのが、近代スペインギターの開祖アントニオ・デ・トーレスシコモーロ材(かえで科)の小さなギターでした。

 

まず、当時は、現代ほどギターの作り自体が大きくありませんでした。そして、何とギターは節目だらけで、おまけに、裏板は3枚(現代は2枚)寄せ。先生曰く、当時は良い木材がなかったからだそうです。つまり、最悪の木材で最高のギターが出来上がった訳です。

 

今、誰かがこんなギターを作れば、たとえ有名製作家でも信用ガタ落ちでしょう。実際、日本と交易のあるスペイン人製作家は、おそらく、日本の楽器商のリクエストで、見映えの良い木だけを使っています。高い金を払う以上、見た目の悪い木など論外だと思うのは自由ですが、見た目の悪い木材のギターだから、無条件に悪いギターだと決め付けるのもまた論外であることは、このアントニオ・デ・トーレスの傑作が雄弁に背理法で証明して余りあります。実際、私は有名製作家のハカランダの当りも並みもハズレも見て来ました。 

 

料理の価値は必ずしも食材の良し悪しではなく、出来上がった料理(②冒頭)が美味いかどうかです。寿司は、具の干瓢や胡瓜や巻いてある海苔を個別に食べるのではなく、寿司と言う料理を食べるのと同様に、ギターの選択基準も、原材料の等級や原価や見映えや製作家の知名度ではなく、出来上がったギターの音色が美味いかどうかが決め手であるべきです。セファルディからは音色の美味いスペインギターをお届けします。尤も、それは必ずしも極上の材質ではないかも知れません。 

 

例えば、仮に、最高の材質を使用した名工の手工ギターと、見るからに余り上等ではない木の無名製作家の作品が2本あり、明らかに後者の方が出来がいいとします(実際これは大いにあり得る話:どんな名工にもハズレはあり、無名製作家も何本かに1本は当りが出る)。読者はどちらを選びますか? 見映えとブランドに拘る、ギターの分からない初級者ほど、楽器商の言われるがままに前者を選び、分かっている人ほど、迷わず後者を選びます。私の知り合いの日本人スペイン人プロギタリスト達も、音色さえ良ければ、少々の木材の見映えの悪さなど気にする人はいません。 

 

楽器店の店員さんは”名工の作品は使っている材質も最高ですなどと言うでしょうが、それは補足的説明にはなっても、だから必ずしもギターが鳴ると言う保証にはなっていないのです。 

 

セファルディでは外見を気にする日本市場向けにはどうかなと思われる木材でも、製作家がこれは鳴ると判断すればそれで善しとします。むしろ、自然の木材なら、そのまま使用して何も差し支えなしと言うのがセファルディの方針です。外見を重視し、最高の材質を使わなければ最高のギターは生まれないと確信して疑わない日本人ギター奏者の間違った固定概念を覆すのも、セファルディの振興会としての役割です。 

 

上述の節目だらけのアントニオ・デ・トーレスの名器が、水戸黄門の印籠の如く、最高の材質最高のギター主義と言う、日本の常識は世界の非常識を打ち壊して余りあります。短刀直入な話、読者の皆さん、もし、予算があるものなら、この名器を買いたいとは思いませんか? それとも、まさか、節目だらけだからと言って、頭ごなしにけなしますか? 

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