単板か合板か

まず、世界中のギター合板ギター単板ギターに大別出来ることを念頭に置いて下さい。

 

例えば、自然のローズ材(インディアンローズウッド,通称ローズ)をそのまま使用したのがローズ単板ギター。これに対して、安い中間材の両面に機械で薄くスライスしたローズをシールの如く張り付けたのがローズ合板で、外見は完璧なローズですが、実際ローズは10%程度の見せかけだけのローズ合板ギター。極端な安物に至っては、表面板まで合板です。

 

両者は音量音質、そして、当然、料金も違いますが、外見は何の差もありません。この合板ギター単板ギターかの区別が出来れば、表示金額が妥当かどうか、目星も付くことになります。

 

最も簡単な見分け方は、ギター内部のラベルの下の裏板中央部に縦に添え木があれば単板ギター。添え木がなく、ラベルがベタ~と貼ってあれば、無条件に合板ギタです。サウンドホール越しにラベルの下を覗いて見て下さい。

 

単板ギターの場合、単板2枚を接着した裏板中央の接合部分内側にこの添え木を貼り、ギター内側から補強します。従って、ラベルの下にこの添え木があれば(添え木の上からラベルが貼ってあれば)、単板ギターだと言って宜しい訳です。

 

それに引き換え、合板ギターは頭から1枚合板の裏板ですので、頭から存在しない接合部分の補強の必要も添え木もありません。但し、1枚合板の裏板も、通常、外側はあたかも2枚の板の如く装飾してありますし、また、“内側中央にわざわざ必要ない添え木を接着して、単板ギターに見せかける合板ギター”も今日出て来ていますので要注意。

 

何れにせよ、最終的な見分け方は、単板であれば、単一の同じ木ですから、表と裏の木目が同じで、合板は裏表別の木ですので、良く見ると木目が違います。

 

合板ギターでも、今日、音量は追求出来ると言えますが、合板故に、どうしても音質で単板ギターに劣ります。やる気のある方は頭から単板ギターと決める方が賢明です。

 

セファルディでは、単板スペインの白いギター(クラシック:146-s&フラメンコ:ARF/それぞれ弦長650&630mm)をご紹介しています。但し、音質の違いも分からないし、取り敢えず、試しに1本と言う方は、合板ギターでも宜しいでしょう。

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は当然[単板ギター合板ギター]です。スペインでもそうですが、ギターショップの店員さんは、わざわざこの違いについては言ってくれません。そこで、”この客は少しはギターを知っているから侮れないな“と思わせるために、逆に”このギターは合板ですか、単板ですか?“と質問してみるのも、侮られないための一つの知的な駆け引きです。そして、この様な基本的な質問にさえ返答に困る様なら、そう言う店のギターに対する姿勢は頭から疑った方が賢明です。

 

さて、この[単板ギター合板ギター]の料金比較は、手工ギターに合板製などない以上、あくまで普及モデル(量産ギター)における両者の比較になります。ところが、舶来のブランド品に弱い日本市場では、平然と価格の逆転現象[単板ギター合板ギター][手工ギター普及モデル]が起こります。

 

つまり、たとえ合板ギターでも、スペインの有名ブランドであれば、日本では単板ギター並みの値段が付いていますし、ましてや、普及モデル単板ギターでも、スペインの有名ブランドなら、今日、平然と手工ギター以上の料金(何十万~百万円以上)が付いていても不思議ではない現実です。

 

ここで、次に述べる普及モデル手工ギターの違いについて、僅かばかりの知識さえあれば、この料金的不条理の大まかな判断は出来ます。