スペイン製スペインギターか中国製スペインギターか  

【序文】読者がスペインギターをお持ちなら、或は、今後、日本で購入されるなら、それは正真正銘100%スペインギター正真正銘100%中国製スペインギターのどちらかです。これが現実です。

 

当初(この記事初稿スペイン在住中2008年)、このギター料金の相違と是非[単板か合板か][普及モデルか手工ギターか][塗装の違い:セラック&ピストル]の3項目だけの予定でした。この中で中国製スペインギターについて触れた時も、これは一部の心無いスペインギター工場だけの例外だと疑わず、参考程度の小記事の予定でしたが、情報を集めるに従って、かなりのスペイン有名無名ギターメーカーが、単に利潤追求のため、臆面もなく二束三文の中国製ギターに自らのラベルを貼り、自社製として世界中に販売し、また、日本の輸入業者や小売店も、利鞘の大きさに見て見ぬ振り。この傾向は21世紀も、更に、拡大の一途を辿っている現実に直面しました。スペインギターの名誉と信頼回復のためにも、これは残念ながら一大項目として取り上げざるを得ないとの結論に至りました。

 

スペイン製スペインギター中国製スペインギター

 

食は中国、ギターはスペイン!? ところが、今日、何と、中国製ギターをそのまま輸入して、自社のラベルを貼り、スペインギターとして販売するスペインのギターメーカーが後を絶ちません。しかも、隅の方にMade in Chinaとも何とも書いてありません。ラベルの片隅に原産国Chinaと表示する道義心もありません。見た目は完全なスペイン製ギターです。

 

近年、ウクライナ戦争のおかげで、ヨーロッパでは物価が高騰し、加えて、歴史的円安で、スペインでも、2023年12月現在、一番安い日替り定食が10ユーロ(約1,600円)。総てこんな調子で、中でも石油やギター原材料など、企業努力だけではどう仕様もないのが輸入品です。当然、スペインギターの原価も跳ね上がる一方です。

 

この様な社会的経済的情勢になれば、どの業界も生き残りのため、値上がり分を小売価格に上乗せするか、丸ごと原価二束三文の中国製品に鞍替えするかのどちらかの選択を迫られます。その結果、昨今の日本同様、巷には格安の中国製品が氾濫しているスペインでは、何とギター付属品(ケース,譜面台,足台etc)のみならず、ギター丸ごと中国に発注し、ラベルだけスペイン製の純スペインギターとして販売するメーカーが増加の一途を辿っています。幾らこの方が手間隙人件費丸ごと大幅節約出来て、経済性が良いとは言え、中国製スペインギタとは低俗漫才にもがあります!!

 

これでは発想がまるで100円ショップです。しかも、様々な情報を総合すると、決して無名メーカーのやむを得ない生き残り策ではなく、日本を初め世界中に大量輸出している有名スペインギターメーカーほど、率先して中国に発注している明らさまな現状が見えて来ます。しかも、これが日本ではモデルによってはかなりの価格が付いており、この傾向は臆面もなく増長する一方です。

 

日本やアメリカのメーカーが、如何に中国製ギターに自社ラベルを貼って金儲けしても、セファルディは感知しません。しかし、スペインギターとなれば話は別です!! セファルディからお届けするスペインギターは総てスペイン製であり、中国製は1本もないことをここに誓約致しますまた、セファルディと当サイトでは、スペインで製作されたギターだけをスペインギターの定義とします。私が何故、この様な当り前の事を一々但し書きする必要があるのでしょうか!? 本当にいい迷惑です!!

 

しかも、頭からMade in Chinaと表示しないどころか、ラベルには堂々とMade in Spainの表示です。どんな会社も金がなければ回って行きませんが、だからと言って、偽造大国中国に自ら魂を売って、何をやってもいいと言う訳ではないはずです。原産国中国だと知っていながら、平然とスペインギターと称して販売する日本の輸入業者や小売店も類は友です。日本でも時折、中国産食品を国産と偽る産地偽装事件が起こりますが、単に食品がギターに変わっただけのこと。これではまるで平成19年の世相を表す漢字[偽]そのもの。真に、不誠実で情けない話です。

 

なる程、これなら、サウンドホールを覗けば、正真正銘スペインのギターメーカーのラベルなので、あくまでスペイン製だと言い張れます。こうなれば、もはや、ギターの原産国や表示どうこうの問題ではなく、ギターを取り巻く人間の誠実不誠実の問題です。

 

日本では、何を買っても原産国表示があるし、スペインの有名なラベルが貼ってあるから、これはスペイン製だ!と疑いもしないのは、今日、性善説のお人好し日本人の軽率の極みでさえあり得ます。

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中国製スペインギタ-:今後の傾向と対策

 

定価15万円以下なら、どんな国のどんなギターも中国製だと、ギター業界を良く知る日本人プロから聞かされたのが2003年頃でした。それから20年も経てば、更に、利潤追求絶対至上主義に毒され、低コストの味を占めた多くのスペインギターメーカーが、よりグレードの高いモデルまでも偽造大国中国に喜んで発注し、それらが日本を初め、世界中に堂々とスペインギターとして流通すると思うとぞっとします。つまり、この中国製スペインギターの傾向は、今後、増加増長の一途を辿ります。

 

当サイトは日本にスペイン製スペインギターの価値観を伝えるためのものです。だからこそ、日々圧倒的な現実となり続ける、この中国製スペインギターの脅威をお伝えしなければなりません。

 

繰り返します。読者がスペインギターをお持ちなら、或は、今後、日本で購入されるなら、それは正真正銘100%スペインギター正真正銘100%中国製スペインギターのどちらかです。これが現実です。どうか、セファルディの当サイトを熟読され、ギターに関する知識を少しでも深めて頂ければ、必ずや、演奏の幅さえ広がることをお約束します。

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