日本の常識は世界の非常識

日本の常識は世界の非常識(ギター演奏編)!? 

例えば、スペインでは、世界中をコンサートで渡り歩いた故マヌエル・カーノ先生に至るまで、フラメンコギタリストは誰も楽譜が読めない!? 教則本を買ったこともなく、買っても読めず!? と言うことは、教則本の基礎練習の概念が頭から存在しないので、誰一人基礎練習などしない!? フォームも人によってまちまちで!? それを生徒に一々教える先生もいない!? 勿論、レッスンは楽譜教則本なしで、先生が弾いて、生徒が目と耳で真似するだけ!? 細かい事は気にしません。おまけに、私の知り合いのフラメンコギタリストは家にギターがない!? 練習時間ゼロで、ギターは仕事場のフラメンコ会場に置いてあるだけ!? しかも、それでヨーロッパツアーを難なくこなす!? 要するに、結果オーライで、弾けりゃ、それでいい訳ですし、弾けなきゃ、どんな正統派理論も、正しい爪の形も、名器さえも無用の長物です。クラシック音楽でも、ギターに限らず、基礎練習ゼロのプロはいる様ですが・・・。 

 

それに引き換え日本の常識は・・・。うちの教室ではこうですと言わんばかりに、とにかくフォームに拘る割には(特にクラシックギター)、蚊の鳴く様な音の小さな人が非常に多いのも、日本人ギター愛好家の共通点です。こう言う人に限って、高価な有名ギターを買わされ、小さな音で弾いて悦に入り、まるで新車の如く、少しのキズも付けまいと、演奏よりそちらの方に注意が行って、ますますタッチが弱くなる悪循環。あたかも、大枚叩いたベンツを時速40Kmで乗り回し、”さすがベンツは違うぜ!!”と次元の低い自己満足に陥れば、ディーラーの思う壺です。 

 

セファルディでは故マヌエル・カーノ先生の教えを継承し、まず、どんなに外見の正しいフォームでも、音が大きくなければ、ギターは弾いたことにはならないと見なします。高速を時速100Km以上でブッ飛ばし、息切れしない登坂力を味わってこそ、せっかくの高級車ベンツのはずです。同様に、ベンツの持ち腐れの如き、時速40Kmの正しいフォームでギターの安全運転などナンセンスです。 

 

この日本の常識は世界の非常識(演奏編)にスペインギターで挑戦するのもセファルディの使命です。如何に徹底的に力を抜いてバカでかい音を出すか・・・。大きな音を出すには、力を込めるのではなく、抜きます。筋トレで鍛え上げた腕で思い切りバットを振り回しても、当らなければファールチップなのは指も同じこと。力を抜いて、リラックスして、バットの真っ芯で捕えて、軽く振り抜くだけで、外野に突き抜けるヒットになる様な音の演奏が理想です。どんな弦楽器でも、熟練者達人はそうなっています。その秘訣は指ではなく歌心歌心を鍛えれば、故マヌエル・カーノ先生の足元に少しは近づくことも出来ます。

 

これについては、スペインギター週間コルムナで毎週の様に取り上げています(帰国後執筆中止)。要約すれば、”指より歌心を鍛え私の指に勝手にギターを弾いてもらう“ことにより、”正しいフォームで指を鍛え私が指を動かしてギターを弾く“日本の常識は世界の非常識に挑戦します。ご愛読下さい。ファールチップからヒットに変わるギター人生をお約束します。  

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究極のところ、歌心に富む人程、ギターを見る目があると言えます。当サイトの様々な解説も、結局は歌心の一事に帰着します。少々乱暴な要約ですが、実は、これ以上の真理はありません。読者の皆さん、歌心を鍛えればギター演奏も上達し、ギターを見る目も耳も養われて来ます。 

 

日本の常識は世界の非常識(ギター選択編)!? 

公然と中国製スペインギターを本物のスペインギターとして販売する 

日本ではどんな商品でも原産国表示がありますが、ギター業界に関しては、原産国表示義務はないのでしょうか? 逆に、質問したい位です。 

 

仕上げと外見に異常に拘る 

世界を見渡せば、日本人ほど細かい気配りの民族はいません。饅頭や煎餅の包装一つにも、購入者や贈呈先への心遣いが感じられますが、同時に、見映え重視と言う、どこかピンボケの価値観が日本人にはあると言えなくもありません。例えば、ハンドバックも車も、最後の決め手はデザインだとか、背が高くてハンサムで次男で高級取りでと言った具合です。ギターも同じです。どんなにフィニッシュが良くても、鳴らなければピンボケギターなのです。まずは音色です。 

 

有名ブランドのスペインギターが欲しい!!  

確かに、秀作の正真正銘有名ブランドスペインギターもあるでしょうが、読者の想像を遥かに超えた数の、有名ブランド中国製スペインギターが日本にはあります(2008年執筆)。ブランド名や外見に捕らわれず、自らの意見をしっかり持って、名より実を選んで下さい。そのための当サイトです。 

 

スペインギターは高いものだとの思い込み 

国策で円安ユーロ高の今日、日本におけるスペインギターの価格にも、それが如実に反映されていますが、当サイトをご覧になれば、必ずしも、そうではないことがお分かり頂けます(2008年執筆)。

 

しかし(以下2024年6月執筆)、 歴史的円安で、アベノミクス前は1万円=99ユーロでしたが、1万円=58ユーロしかならない今日、確かに、スペイン製ギターの原価は格段に上がっており、日本での最終価格もこれを反映せざるを得ませんが、それでも、セファルディヨーロッパ価格+αです。

 

逆に、これだけの超円安時代に安いスペイン製ギターが日本で見受けられるなら、それは中国製スペインギターでしかあり得ません。現に、当店にもその筋からのカタログが送られて来ました。確かに、目の玉が飛び出るほど安く、節操のないギター店主なら、すぐ飛びつくだろうと思わざるを得ないほど格安の原価で、スペイン有名メーカーのラベルでした。

 

それ故、安いと却って信用されない  

これはギターに限らず日本人の悪い癖かも知れません。セファルディヨーロッパ価格+αです。舶来ギターはかなり高いものだ(当然、安くはあり得ませんが)との先入観はお捨て下さい。  

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まだまだありそうな日本の常識は世界の非常識(ギター選択編)ですが、突き詰めれば、これらの著しい非常識は、総て歌心の欠如が根底にある、慢性的副作用だと言えます。 

 

新品ギターも使用木材は古い方がいい!? 

手工ギターの木材は最低10年寝かしてから使います。私の経験や知り合いの製作家の意見でも、必ずしも、素材自体の良し悪しではなく、この木材の古さがギターの鳴りを一番決定付けます。

 

木には、人間の毛穴同様、気孔なるものがあり、年数の経過と共に、気孔内の樹液が乾燥し、音の通り、音質が良くなります。つまり、寝かせば寝かす程、味とコクを増すワインの様なもので、こうなると、経過年数にお金を払うとも言えますし、購入者もまた、それだけの年数を待たなくても良いメリットがあります。前述のアントニオ・デ・トーレスギターや、ストラジバリウスのバイオリンやチェロが現在凄い音がしているのも、名工の腕前は勿論、年月の経過も大いに影響しています。 

 

とは言え、使用木材の経過年数など、製作家に聞かなければ分かりませんが、セファルディからご紹介する手工ギターは、総て、十分年月の経った乾いた木材を使用していることをお約束します。 

 

もっとも、量産工場では10年待つ訳にはいかず、家具工場と同じく、機械で無理矢理乾燥させます。この自然乾燥機械乾燥の差が、手工ギター普及モデル音質に決定的な差を生じます。 

 

スペインギターは魚よりワイン、鮮度より年期で選ぶ  

使用木材は古い方がいいなら、ギターも古い方がいいはずです。音質重視の分かっている人ほど、一般的に、こう言うギターの見方をしますし、分かっていない人ほど、新品や見映えに拘ります。新しいのと古いのと全く同じ商品が2つあれば、新しい方を選ぶのが消費者心理かも知れませんし、例えば、魚なら確かにそうです。しかし、ワインなら、古臭い10年物より、新しい1年物の方が良いと本気で言えば笑われます。実は、ギターも同じことなのです。 

 

魚は鮮度でも、ギターの音色は鮮度ではなく、年期が決め手です。例えば、あるギターが3年間売れなかったとして、これを固定概念で、3年間誰も欲しがらなかった悪いギターだと決め付けることも出来ますが、おかげで、このギターは3年間待つ必要がない、3年経ったから結構いい音がしてるじゃないか、いや、3年も経ってこの音じゃダメだな、と見切りを付けることも出来ます。 

 

例えば、同じ製作家のギターが2本あり、1本は新品、もう1本も新品ですが、3年前の作だとします。新旧に係わらず、音色のいい方を選べばいいだけです。何も難しく考える必要はありません。 

 

売れ残りスペインギターの盲点  

普通、何でも売れ残りは良い印象を持たれないでしょう(前項の続き)。皆が良い物を持って行った後の残り物だとの潜在意識が働きます。スーパーの惣菜なら、閉店前に値引きになりますが、ギターの場合はどうでしょう。次の3通りが考えられる様に思われます。 

 

唯、単に出来が良くなかったから売れ残ったギター。 

発売当初は鳴らず、売れ残ったが、今は鳴っているギターで、まだ売れていないギター。特に表面板”“材なら、これは大いにあり得ます。良い耳を持っていれば、今は出来立てで鳴ってはいないが、将来は鳴りそうな響き方か、それとも、やはり鳴らなさそうか、利くことも可能でしょう。 

秀作だが、高価故に、売れなかったギター。 

 

従って、”皆が良い物を持って行った後の売れ残り“だとの潜在意識が当っているのはのみです。セファルディからご紹介する中に何年か前のギターがあるとすれば、それは②③の場合、特に手工ギターの場合はであることをお約束します。 

 

外見によるギター選択!? 

セファルディでは、前項出来とは、主にギターの音色の良し悪しを意味しますが、どうやら、日本人にとっては、木工としての見映えや外見の仕上げも、かなりの比重を占める様です。現実問題として、車も服も何でも、カッコいい方が売れ筋でしょうし、特に、日本人にはこの傾向が顕著に見受けられます。例えば、このギター格好いい(どう言う判断基準でしょうか)!? サウンドホールの模様がキレイ(装飾品なら話は分かりますが)!? 小さいギターの方がカワイイ(意味不明)!? ピカピカ光っている方がいい(却って安物の証)!? と言った具合です。読者は如何でしょうか?

 

そこで、ギターのフィニッシュですが、おそらく、世界一几帳面な国民性の日本人と、おそらく、ヨーロッパ一いい加減な性格のスペイン人(!?)の違いをそのまま反映して、あくまで一般論としてですが、国産ギターの方がスペインギターより気配りが利いていることは確かです。肝心の音色ではなく、外見に関してはです。音色さえ良ければ、見映えなどどうでもいいと言外に言っている訳ではありませんが、率直な意見として、こと外見に関しては、手工ギターに至るまで、国産ギターほど気配りが行き届いていないスペインギターも多々あります。これが現実です。但し、これは外見に拘る日本人だけの虫眼鏡に引っ掛かる繊細な印象ですので、最後は、外見でもフィニッシュでもなく、スペインギタースペインギターらしい、その音色で、スペインギターを正しく選択して下さい。 

 

繰り返しになりますが、セファルディでは、製作家がこれは鳴ると判断すれば、少々見た目の良くない木材でも良しとします。外見の良し悪しに係わらず、それが自然の産物であれば、ギターにとって悪いはずがないのです。前述のアントニオ・デ・トーレスの名器がそれを証明して余りあります。 

 

それでも外見が大事、しかし・・・ 

どんなに気を付けても、新車も、買ったばかりの家具も家電も、遅かれ早かれ汚れたり、キズ付いたりするのが宿命です。ギターもケースの出し入れの際ぶつけ、不意に立ち上がって椅子に接触。しまったと思った条件反射で譜面台にもニアミス。ブリッジの穴に弦を通して結ぶ際、爪で表面板にキズを付け、糸巻きに通す際、弦がヘッドに擦って掠りキズ。一生懸命練習したはいいが、気が付けば、裏板にはワイシャツのボタンとベルトの金具の跡・・・。 

 

どんなフィニッシュの完璧な新品ギターも名器も、遅かれ早かれ、無傷ではいられません。ギターをお持ちの読者なら、良くお分かりのはずです。それ故、この意味では、ギター購入の際に、外見やフィニッシュに特別拘る必要性はありません。私の経験でも、素人ほど見栄えでギターを選び、玄人ほど音色が決め手です。スペインギター音色で利いて下さい。 

 

それでも、外見に拘り続けると、次の様な事が起こり得ます。 

 

風評被害によるギター選択  

グラナダ在住の頃、日本から“オレンジ色のフラメンコギターが欲しい”との問い合わせがありました。ピストル塗装の中でも、最も安価なオレンジ色のポリウレタン塗装は、作りの粗い最も安価な普及モデルの塗装方法です。早い話が、雑な作り(木と木の接合部分の隙間など)やキズを隠すための、やや濃い目のオレンジ色なのです。日本にも多く輸入されている、スペインの有名フラメンコギターメーカーが、相当高いモデルにまで、こんな安い塗装を施しているので、無知な消費者は、よりによって、この最も安いオレンジ色こそ、高級ギターの証とさえ思い込むに至ります。 

 

幼少期なら、無知は無邪気で済むかも知れませんが、それ以降は無知だと、まず、損をするのが世の常です。ましてや、大枚叩いてスペイン製手工ギターを購入するとなれば、当サイトを熟読してからでも決して遅くはありません。 

 

それでもキレイなスペインギターがいい!?

今一意味不明ですが、見た目のキレイさなら迷わずピストル途装普及モデルが一番です。セラック途装よりキズが付き難く、家具の艶出しスプレーで拭けば新品同然。セラック途装手工ギター音質は劣りますが、それなりに良くなるギターをお送りします。ギター料金一覧表の塗装欄[ピストル]表示の68,000~198,000円のギターです。

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