音量について 

良く鳴るギターなら音が大きいはずだと言う単純な答えが返って来そうですが、問題はその大きな音がどの様に弾けば出るギターかと言うことなのです。例えば、軽自動車で精一杯アクセルを踏み込んでも、ベンツで軽く流しても、時速100kmは時速100kmですが・・・。

 

良いギターの第一条件は軽いタッチで音が気持ち良く出るギターと言えるでしょう。逆に、音が今一抜けないギターは、やはり今一です。バッティングは手応え。りんごは歯応え。ギターも弾き応えです。打てば響く太鼓の如く、まずはギターを軽く爪弾いただけでスキッと音が抜けるか、少々力を込めなければ音が出ないかが判断基準です。同時に、少々力を込めなければ音が出ないギターには、次で述べる音質がなく、軽いタッチで音が自ずと出てくれるギターは、次項の[音質について]の[A]~[D]もまた、それに応じて伴うことも事実です。

 

それ故、最も端的なギター選考基準は、パリッとした歯応えの煎餅なら可湿気っていれば不可だと比喩すれば分かり易いでしょう。但し、最初は鳴らず、弾き込むと明らかに音量音質を増すギターもありますので、ギターの良し悪しは第一印象だけでは、一概に判断出来ない面も大いにあります。

 

セファルディからお届けするスペイン製普及モデル(ギター全商品一覧の178,000円以下のギター&セラック手塗りGLシリーズ28万円)はセファルディプルデンシオ・サエス製作所に指定する音量増幅内部構造です。店長の発案ではありませんが、何人もの有名な製作家が一昔前から実践している構造です(もちろん、この様式を用いない名工も多くいます)。ギターは生物ですから一概に言えませんが、この構造にすれば、平均して音量が増すことは統計上明らかです。

 

さて、初心者に限らず上級者まで、この音量だけでギターを判断している人、つまり、音が大きい方が良いギターであり、高価なギターほど音が大きいはずだと思い込んでいる人が、結構いるのではないでしょうか。しかし、日本語で言う量より質は人生の総ての面において、そして、音量より音質はギターのみならず、総ての楽器に共通して言えることです。次の[音質について]の項目こそ、最も重要なギター選択基準だと思って下さい。少々長いですが、私も力を込めた項目ですので、克目してお読み下さい。