サウンドホールのモザイク
これは正確には材質ではなく装飾ですが、まず、元来、モザイクとは、十戒で有名なモーセの英語の形容詞モザイック(mosaic)です。つまり、モーセの様なと訳せます。そして、実は、モーセは十戒以外にも、事細かい様々な戒めを残しました。そこで、このモザイク(Sp:mosaico,モサイコ)には、モーセの戒めの如く、細かい、厚かましいと言う意味さえあります。
そこで、読者もご自分のギターのサウンドホールの模様を良くご覧下さい。実は、非常に細かい木の粒の寄せ集め、寄せ木細工であることが分かります(が、そうではないものも有り)。
手工ギターのモザイクは手作りですが、普及モデルは出来合いのモザイクの輪ッカをはめるだけ。見分け方は、もし、完璧にビシッと詰まったモザイクであれば、それは機械製の出来合いの輪ッカの印です。逆に、手作りであれば、必ず、不揃い不一致な個所があるものです。
もっとも、サウンドホールの装飾はモザイクでなければならない規則はありません。貝や軽金属を埋め込んだ手の込んだものもあります。製作家によって、独自に工夫する余地はあるでしょう。
今日、日本に輸入されている高級手工ギターや高級手工ギターと称されているスペインギターのサウンドホールのモザイクの中には、出来合いの輪ッカ(しかも日本製!?)をはめ込んだものが相当数に上ることは残念です。手工なら最後まで手工であるべきです。
ファン・ロマン・パディージャ氏のこの手作りのバラのモザイクは見事です。